tirage au sort

昨日でテスト終わり。

思ったよりあっけなくというか平穏に終えることが出来た。

おそらくフランスにしかないだろうtirage au sort形式のテストを受けてきた。日本語に訳すと「くじ引き」。今回のテストでは3つの授業*1を1つのテストで試すもの。当たり前だが、3時間のテストで全授業をカヴァーできるわけない。そこで、くじ引きで何のsujetについて記述を行うか決める、というのがtirage au sort。

テストのその場になってsujetを決定するのは、「一応全部勉強して来いよ」っていう脅しのためだと思う。テスト当日まで何の授業の何のsujetかは分からない。生徒は3授業分のノートとテストを前にして呆然とするわけです。なんてあくどい制度だ。

この「くじ引き」制度は、もちろん「生徒に全部の授業の復習をさせるため」という目的もあるが、もう一つ、私は勝手に「一人一人違うsujetを与えることによってカンニングを防ぐ」という目的があるんだと思っていた。

しかし…

当日。くじ引きを行ったのは、先生が任意で選んだ「いち」女子学生。tirage au sortとは、たった一人の女子学生が、その場に居合わす100人程度の学徒のテストのテーマを決めるという恐るべき制度であったことが判明。その女生徒は、目の前に置かれた2つの大きな封筒*2(封筒ごとに違う授業の試験問題が入っている)のうちの一つにバンッと手を置いて、この瞬間に100人の試験問題決定。

はてさて、その試験問題は…

現代社会学」

決まった瞬間、教室内は歓喜の渦に巻き込まれた。相撲だったら座布団が頭上を飛び交わんぐらいの勢いで皆喜びまくっていた。

なぜなら…
「ドイツ社会学」を皆毛嫌いしてるのです。カント、ヘーゲルマルクスに始まり、ホルクハイマー、アドルノ、マルクーゼを経てハーバマスに至る壮大なフランクフルト学派の流れを、半期で、しかも哲学の基礎知識のない社会学科の生徒に教えようなんて、「ムリ」だ。ていうか私はムリだった。しかも先生怖いし(;_;)

本当にあの女生徒はグッジョブでした。最高。

めでたく私はMichel Foucaultを選択し、『権力が個人の周囲に現実(realite)を作っていく過程』について3時間弱記述いたしました。あー本当、マルクーゼとかだったらマジで白紙になるとこだった(;0_0)

そんなわけで、必死に勉強したわりに、フーコー一本で行けたので、安心でした。

*1:大きくは「ドイツ社会学」と「現代社会学」に分かれ、現代社会学の中に「Michel Foucault」「映画の社会学」「Sociologie Britannique」がある。授業の枠的には3つだが、テーマとしては4つ。

*2:「ドイツ社会学」か「現代社会学」の2択